起業を実現するために必要なことの一つとして、「資金調達」があります。
起業資金をどう調達するかを考えるときにも、「起業ノート」を活用してください。
今、自分(家族も含めて)が持っているお金を「起業ノート」に書き出して、そのうち起業のために使えるのはどれくらいかを考えます。
そのうえで、「起業のために必要な資金の金額に対して十分に足りているのか」を検討することが重要です。
起業時の資金調達の方法は、大きく分けると「自分で貯めたお金を使う」、「出資を受ける」、「融資を受ける」という三つがあります。
最近は、インターネットや通信のインフラが整ったことで、とくにネット系のビジネスでは少額で起業できるようになりました。
そのため、融資や出資を受けずに、自分のお金だけで起業する人も多くなったようです。
一般に、自分の蓄えだけで起業するのが理想的のように思われていますが、必ずしもそうとは言えません。
私は、自分の蓄えだけで起業できる人でも、起業時に外部から資金調達することを勧めています。
起業時に外部から資金を調達することは、次の二つの理由からとても意義のあることです。
一つは、自分の蓄えは使わずに、余裕資金として残しておくことが望ましいからです。
起業しても、予想よりも売上が少なかったり経費がかさんだりして、黒字化するまでに相当の期間を要するものです。
資金があっという間に底をついてしまうことがあります。
そこから資金調達しようと思って慌てても、赤字の状態であれば困難です。
もう一つの理由は、起業家にとって大切な「資金調達のスキル」を早く身につけるべきだからです。
事業を長く続けていると、まとまった資金が必要になる場面に遭遇することがあります。
起業時に経験することで、いざというときに資金を調達するノウハウを得ることができるのです。
資金調達の方法のうち、「出資を受ける」というのは、基本的に返さなくてもいいお金を出してもらうという方法です。
親など身内から出してもらうケースはよくみられますが、ベンチャーキャピタルやエンジェル(個人投資家)からとなると、事業の収益性や成長性が際立っていることなどを求められるので、かなりハードルが高くなります。
また、「お金を出しても口は出さない」という投資家はいないと思ったほうがいいでしょう。
投資家が、本人を上回る出資比率を確保した場合は、起業家本人は「雇われ社長」的な立場に追いやられてしまいます。
そこで、一般的な起業家が利用しやすいのは、公的な機関から融資を受ける方法です。
日本では子供の頃から「借金はしてはいけない」という教育がされているので、毛嫌いする人が少なくありません。
しかし、サラリーマンと異なり事業経営者は、うまく融資を活用することが飛躍につながります。
無借金で手持ちの資金だけで堅くやっていこうとすると、投入できる金額が小さいので得られる利益も乏しくなります。
そこで、借金をして倍の資金を投入できれば、単純に考えれば倍の利益が得られます。
利息がつくので、その分はコストとしてかかりますが、今は低金利の時代が長く続いていますので、さほど大きな負担ではありません。
もちろん、過大な借金は負担が大きく経営が行き詰まる原因となりますが、適度な金額の借金であれば、事業を順調に継続するためにとても効果的なものなのです。