投資とリターンの関係をどう読むかが重要課題

「投資」した後の「リターン」はどのように読めばいいのでしょうか?

実は、「投資とリターン」の関係を判断することは必ずしも容易ではなく、試行錯誤を繰り返していくほかないというのがその質問への答えです。

「投資」というと、株式や金融商品などをイメージすると思いますが、事業において大切なのは、そうした投資ではなく「売上を生むため」の投資です。

具体的には、店舗や事務所への投資、営業マンを雇うための人件費、マーケティングにかかる費用などです。

これらの投資がうまくいけば、リターンとして利益が得られます。

ところが、リターンが得られるまで時間がかかることや、何に投資したことが直接の要因でリターンにつながったのか分かりにくいなどの理由から、「投資」と「リターン」の関係は検証が難しいのです。

とはいえ、たとえ難しくても、「投資とリターン」の関係を検証して、次にどのような投資をするかを考えることが経営者の重要な課題です。

とりわけ起業家にとって重要な投資でありながら「リターンとの関係」が検証しにくいものとして、「マーケティング」を例にとって説明します。

一般的に、起業して最初に直面するのが、「お客様をどうやって集めるか」という問題です。

したがって、マーケティングにかける投資はとても重要です。

多くの起業家にとって、広告宣伝などマーケティング活動への投資は、実行するのにハードルがあります。

資金が乏しい中で、効果が読めない費用にお金を使うのが怖いからです。

でも、うまくいっている起業家は、例外なくマーケティング活動に投資して事業を拡大させています。

マーケティング活動の中で代表的な広告宣伝は、折込チラシ、雑誌の広告など昔ながらの方法のほか、インターネットのPPC広告(クリック課金型広告)など新しいものもあります。

商品やサービスに興味をもつ人を集めるためには、このような広告宣伝に資金を投入していくことが有効ですが、広告宣伝費はなかなかリターンが読みにくいものです。

なぜなら、一度の広告でたくさんのお客様が集まることはまれで、繰り返して行って始めて効果が表れることが多いからです。

1~2回の広告でやめてしまうと、その後繰り返したときに得られたかもしれない効果を逃している可能性があります。

たとえば半年間で広告宣伝費に100万円を使って、7か月目に初めて商品が売れて200万円の利益が得られたとすれば、ようやく「この投資は成功だった」という判断ができます。

マーケティング活動への投資を例にとりましたが、事業活動における投資はリターンを読むことが容易ではないものの、利益を得るために欠かせないものです。

ただし、状況によっては、投資に早く見切りをつける判断をすべきときもあります。

たとえば、新規事業を始めようと考えて、すでにいくらか投資したとしても、何か大きな障害となるような事情が判明したら、追加の投資はきっぱりやめることが得策の場合があります。

最初の投資は無駄になりますが、「ドブに捨てた」とあきらめるほうがいいのです。

このように、事業活動はお金に関して「トライ&エラー」の繰り返しで自己成長を図っていくものだと理解してください。

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