昨今、企業に勤めているビジネスマンの中には、資格試験の勉強に取り組んでいる人がとても多いようです。
早朝のカフェに行くと、熱心に参考書を読んでいる人の姿が目につきます。
とくに起業を志すと、「まず何か資格を取ることが先決」と考えて、士業などの資格試験の勉強にチャレンジする人がいます。
しかし、今や弁護士や公認会計士など超難関資格をパスして独立開業しても、「食えない」状態の人がたくさんいるのが実態です。
だからといって、「資格では起業できない」というわけではありません。
私自身も、中小企業診断士を持っていたことが一つのきっかけで起業しており、資格があるからこそいただける仕事もたくさんあります。
そこで、資格を取得しての起業を考える際のポイントを説明しておきます。
1.これまでの経験の延長線上にある資格を選ぶ
たとえば、長年経理の仕事をしていた人が税理士の資格を取得するなど、実際にやってきた仕事に関係する資格であれば独立に向くといえます。
培った経験に資格が加わることによりブランディングの効果が生まれ、軌道に乗せられる可能性が高まります。
ところが、これまでの経験とは全く関係のない資格で起業しようとしても、現実にはとても遠大な計画となります。
なぜなら、○○士の資格を取ったとしても、その仕事の実務を知らないからです。
たしかに、経験と無関係の資格で起業して順調に稼いでいる人もいますが、とても大きな苦労を乗り越えることが前提となります。
資格で起業を考えるなら、これまでの経験や実績をさらにアピールできる資格を選ぶことをお勧めします。
2.その資格で起業した人の成功モデルをチェックする
今や、難関資格である士業でも、「○○士事務所」と看板を掲げればお客さんが寄ってくるという時代ではなくなりました。
たとえば税理士を例にとると、一般の人からみればどの税理士でもあまり違いが分からず、サービス価格が選択のポイントとなってしまいがちです。
いかにして数多くいる同業者の中から選んでもらえるか、工夫を凝らさなければなりません。
私の知人の税理士は、最初は1人で開業しましたが、5年ほどで顧問先を増やしスタッフ20名を抱えるほどになりました。
この税理士のように、短期間で規模を拡大している人は、間違いなくマーケティングや営業活動に長けています。
価格で訴求するのではなく、コンサルティングなどの独自サービスを打ち出したり、本人のパーソナリティをうまく表現したりして、競合先と差別化しているのです。
資格を活用して起業した人の中には、この税理士のような「成功モデル」といえる人がいます。
起業を意識してネットやメディアを注視していれば、「成功モデル」を見つけることは難しくありません。
あなたが、資格による起業で活躍しようと思うなら、「成功モデル」の人が、どのような活動をしているか、しっかりとチェックして「起業ノート」に書き留めておくことが有効です。
3.資格の枠にとらわれないビジネスを考える
資格を活用して起業するからといって、その資格の本来の業務だけにとらわれると、同業者との競争に巻き込まれるだけです。
○○士であっても、たとえば企業研修など、少し異なる周辺業務を行っていくことで、独自のマーケットを開拓することができます。
ただし、資格によっては活動範囲を制限されているものもあるので、十分留意する必要があります。 規定に抵触しない範囲で、できるだけオリジナリティを出せる活動を行っていくことが、同業者に差をつけられる強みとなるのです。