「起業ノート」に必要なスキルとノウハウを書き出したら、一つやっておくべき重要なタスクがあります。
それは、あなた自身の棚卸をすることです。
これまでの人生を振り返って、どのようなスキルやノウハウを身につけてきたか、他の人にない強みは何か、苦手な分野は何か、といったことについて、徹底的に洗い出して「起業ノート」に書く作業を行ってください。
その作業を行うことによって、起業するために必要と思うスキルやノウハウについて、どこが足りていてどこが不足しているか、確認することができます。
たとえば、とくに重要な「マーケティングや営業に関するスキル」を例にとると、これまで営業の仕事をしたときに、業績がどうだったかを思い出すのです。
なかなか思うとおりに売ることができず、営業に関して苦手意識が残ったままだとすれば、起業してからもトラウマになり十分な売上を確保できない可能性があります。
このように、自分の棚卸をしてみて、スキルの面で大きな不安がある項目については、自信を持てるように補強する必要があります。
そのための一つの方法としては、違う会社に転職してみるということも選択肢の一つです。
営業スキルに不安があるなら、思い切って歩合制の営業職を求めている会社に転職すると、自分を鍛えることができます。
あるウェブ制作会社をつくって起業した人は、営業経験がないことに不安を感じていたので、なんと起業前に新聞販売員の仕事を経験しました。
家を1軒1軒回って断られ続ける中で、話の切り出し方や頭の下げ方などに工夫を重ねていると、次第に契約が取れるようになったそうです。
その経験を積んだ結果、起業後も営業がうまくいって多くの取引先を確保できました。
もちろん、新聞販売員の一般消費者に対する営業と、起業後の法人営業は内容が異なりますが、営業に対する苦手意識が払拭できたのが功を奏したのです。
大企業に勤めている人の場合は、大きな組織の一つの歯車としての仕事になりがちです。
いざ、独立してすべて自分でやらなければならないようになると、何もできないという事態に陥ることもあります。
起業までに半年でも1年でも時間的な余裕があれば、ベンチャー企業など中小企業へ転職することを考えてみてはいかがでしょうか。
大企業の仕事とは大きく異なるので苦労はすると思いますが、小さな企業の実態を知るとともに起業後に必要なスキルを磨くこともできます。
ただし、転職した場合は、あくまでも「起業前のためのスキルアップ」と位置付けて、仕事をすることが重要です。
周りの社員の雰囲気に流されて、起業へのモチベーションが下がってしまっては意味がありません。
「起業ノート」を活用して、「起業する」という強い目的意識を持ち続けることが大切です。