数字に弱いのは経営者として失格

起業を志して準備をしている人の多くが苦手にしていることは、「収支予測」や「資金繰り」などの「数字」の計算です。

事業活動においては、「数字」はイコール「お金」です。

数字に対して苦手意識をもって目を背けていては、起業家として成功はおぼつかないと断言します。

「数字の計算」といっても、高度な数学の知識が必要だというわけではありません。

小学生で習った「加減乗除」の計算に加えて、簿記3級レベルの知識と、エクセルを使った簡単な表計算ができるスキルがあれば十分です。

もし、簿記やエクセルの知識が全くないなら、勉強して習得するようにお勧めします。

起業すれば、日頃から数字を見ながら事業活動の振り返りを行うことが重要です。

起業前に知っておいていただきたい数字の代表的なものは、「収益」、「資金繰り」、「資産と負債」の三つです。

「収益」とは、売上から原価や経費を差し引いた利益がいくらだったかをみておくことです。

「収益」の計算では、売上も経費も発生した金額で算出します。

たとえば、ある人に商品を後払いで売った場合は、お金が入ってくるのが来月であっても、「売上」として金額を計上するやり方です。

これで、事業活動を行った結果、どれくらいの儲けがあるかを検証することができます。

次に「資金繰り」は、「お金の有り高」に注目する計算です。

売上が発生しても実際のお金の入金は来月という場合は、現金はまだ入ってこない状態です。

とくに法人へ販売するような事業だと、売上金の回収が「月末締め翌々月末」などと、かなり先になるような取引条件になることが多いものです。

それに対して、人件費や経費は早く払う必要があるので、手元に残っている現金が少なくなります。

「収益」が黒字でも、お金が足りなくて支払いができなくなれば倒産につながってしまいます。

そうした事態を避けるためには、「資金繰り表」を作って3カ月~半年程度の近い将来における資金の有り高を予測することが重要です。

足りない状態が見込まれれば、融資を受けるなどの手当てが必要です。

また、「資産と負債」は、ある時点で資産(現預金、商品在庫、売掛金、不動産など)と負債(買掛金、未払い金、借入金)が、どれくらいあるのかを把握しておくということです。

よく小売店で、「今日は商品の棚卸しの日」というのがありますが、これは実際の在庫が帳簿の数字と合っているかをチェックするものです。

また、負債についても、いくら残っているのかということを定期的にチェックする必要があります。

事業を長く継続するのは、これらの数字を把握しながら、どのような事業活動をやっていくべきかを考えて実行していくことが重要です。

起業準備をしている間にやっていただきたいことは、「起業ノート」を使ってあなたの事業の数字を予測することです。

とくに「収益」を予測することが重要です。

利益が出なければ事業を継続できないからです。

「収益」を考えるためには、まず売上がいくら上がるかを予想することが必要です。

売上予測の方法は、「客単価×予想客数」で算出するのが一般的です。

飲食店を例にとれば、客単価が2千円で1日に20人が来店すれば、2万円の売上ということになります。

他には、ターゲットとなる市場の規模を算出して「そのうち○○%の占有率をとれるだろう」という方法もあります。

また、先に経費を見積もって、黒字にするために必要な売上高(「損益分岐点売上高」といいます)を計算すれば、「それが達成可能かどうか」という観点で考えることができます。

売上や収益を予測することは、「やってみなければ分からない」ために、とても難しいものです。

でも、どれだけ実現可能性のある数字を予測できるかが、起業の成否のカギだといえます。

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