起業のために必要なノウハウを効率よく得るためには、「専門家」といわれる人たちを活用する方法があります。
「専門家」とは、「ある技芸や学問などの専門的方面で、高度の知識、またすぐれた技能を備えた人(大辞林)」のことです。
起業のときに必要になる専門家といえば、税理士、司法書士、社会保険労務士などの士業を思い浮かべると思います。
会社設立、税務、人事労務など、経営に関連する手続きに関することについては、こうした士業に相談・依頼することで、効率的に進めることができます。
実際に依頼するときは、一定の費用がかかりますが、最近は士業も競合激化のため、費用が以前と比べて安くなっています。
会社設立を例にとると、以前は10万円以上したのが5万円以下(印紙代等は別途必要)で引き受けてくれる事務所が少なくありません。
中には、「無料」をうたっている事務所まであります(無料の場合は月々の顧問契約などの条件がついていることがあるので留意が必要)。
たとえば会社の設立など、勉強すれば自分でやり遂げることが可能なものもありますが、時間的なロスを考えれば、専門家に任せることがはるかに効率的です。
このような士業に頼るべき手続きなどのノウハウは、通常、いよいよ起業するというタイミングになってから必要になるものですが、起業準備段階でも専門家を活用することによって、ノウハウの蓄積速度を飛躍的にアップすることができます。
とくに「ビジネスモデル構築に関するノウハウ」、「マーケティングや営業のスキル」、「ITスキル」などに関しては、それぞれ多種多様の専門家がいるので、コンサルティングを依頼することも検討する価値があります。
起業支援を行っている機関には、各種の専門家が所属しており、最初の相談は無料で対応してくれることがあります。
しかし、無料相談だけでは、得られるノウハウには限界があります。
彼らは、自分がもっている情報や知的ノウハウが売り物ですから、無料で対応できる範囲を、ある程度限定しているのが普通です。
彼らから、真に役立つノウハウを引き出そうとすれば、金を払ってコンサルティングを受けることが必要です。
しかし、サラリーマンの間は、人のノウハウに金を払うという感覚があまりないのが一般的です。
私も起業前に、あるコンサルタントに「会って相談させてほしい」と頼んだところ「相談するなら5万円必要」と言われて、面食らった経験があります。
最初は「相談するだけで5万円も取るなんてあこぎな!」と思いましたが、後で「5万円の価値があるかどうか見てやろうじゃないか」という気持ちになって、思い切って有料相談を申込みしました。
するとそのコンサルタントは、本やネットでは得られない貴重な情報やノウハウを伝授してくれたのです。
ただし、依頼する専門家は慎重に選ぶ必要があります。
金をかけて頼んでも、「大したノウハウをもっていなかった」などの理由で、無駄になってしまう可能性があるからです(それも貴重な経験にはなりますが)。
その人がどのようなバックグラウンドをもっているのか評判はどうかといったことについて、できるだけ事前調査したうえで依頼する必要があります。