事業活動は「お金を回す活動」だといえます。
起業準備でもっとも大切なことの一つは、お金について考えるということです。
起業家を目指すなら、お金に対する考え方をガラリと変えなければいけません。
サラリーマンの間は、収入はある程度決まっているので、「できるだけ節約して将来のために貯めておく」というのが正しい考え方でしょう。
しかし、起業家になるなら、お金に対してもっと視野の広い考え方をする必要があります。
事業活動においては、「お金はできるだけかけずにやっていく」という考え方だけをもっていると、なかなか採算ラインの売上をあげることはできません。
お金を使わずにできる事業活動には限界があるからです。
私たちは、お金の使い方や投資については、ほとんど学ぶことがないままに大人になっています。
お金に関しては、せいぜい親や先生から「無駄使いせず貯金しなさい」と教わった程度です。
残念ながら大多数の人は、起業家として身につけておくべき「お金を回すスキル」が欠如していると言わざるを得ません。
あなたが起業を志すなら、「お金を稼ぐためにはお金を使わなければならない」という発想を持てるようにしてください。
お金の使い方には、大きく分けて「浪費」、「消費」、「投資」という3種類があります。
「浪費」とは役に立たないものへの無駄遣い、「消費」は電気代など生活や事業の維持のために必要なものにお金を使うこと、「投資」は利益を生むために資金を投下することです。
起業して経営者になったら、「浪費」や「消費」に該当するお金は極力抑える必要があります。
しかし、「無理なく手堅くやるのが一番」とばかりにお金を使わないことだけ考えていては、事業で利益を上げることはできません。
起業家になるなら、「投資」を強く意識する必要があるのです。
事業活動では、「投資なくしてリターンはない」と覚えておいてください。
リターンを得るために、常に「何にいくらお金をかけるか」ということを検討しなければなりません。
「何」に該当するものは、「機械などの設備」、「仕入れる商品」、「採用する従業員」、「広告宣伝」など様々です。
経営者によっては、複数の事業へ投資をしています。
たとえば、あるIT会社の経営者は、他に飲食業と貿易業にも投資しています。
もちろん、投資すれば必ずリターンが得られるわけではありません。
たとえば、「売れそうだと思った商品を仕入れたが実際には売れなかった」など、結果的に「金をドブに捨てた」ということもあります。
うまくいっている経営者でも連戦連勝というわけではなく、「投資しては失敗」を繰り返す中で、経営判断を行って「うまくいくだろう」と思うものにさらに投資するという活動を継続しています。
つまり、「投資」した後の「リターン」(得られる利益)を検証して、次にお金をどこに投資するかを考えるわけです。
とはいえ、「投資」には必ずリスクが伴います。
投資とリターンを読みながら、リスクをとってお金を使える起業家だけが成功を手にすることができるのです。