起業するには今の会社でやっていることを観察する
起業を決意すると、勤めている会社の仕事のことは上の空になってしまう人がいます。
しかし、勤めている会社の仕事の中には、起業後に使えるノウハウがたくさん隠されていることを意識していただきたいと思います。
長年続いている会社には、商品開発、マーケティング、事務処理などに関して、改良を積み重ねて完成されたノウハウがたくさんあります。
退職まで残された時間を漫然と過ごすのではなく、ノウハウを少しでも身につけられるように、退職を決意したときからこそ会社の仕事に熱心に取り組むことが重要なのです。
とくに、勤務経験で培ったスキルを生かす「独立型」の起業を考えている人は、勤務先の会社が持っているノウハウを、退職する直前まで十分に吸収しておくことが重要です。
勤めている間は普通に得られていた情報でも、辞めた後では、いくら仲が良かった同僚でも、社員でないあなたに対しては教えてくれないのが普通だからです。
また、「独立型」の起業ではなく、今の会社の仕事と全く関係のないビジネスで起業しようとしている人でも、活用できるノウハウがたくさんあります。
会社にいる間は気にしないことに、総務、経理、人事労務関係の事務処理やルールなどがありますが、起業すると、自分ではなかなかできないことが多いものです。
たとえば、お客様から「見積書」や「請求書」などを依頼されたときに、勤めている間は会社のコンピュータを利用することで簡単に作れますが、起業後は「どんな形式で作ればいいのだろうか?」と困ってしまいます。
もちろん、全く同じものを作ることはありませんが、書式や事務処理など参考になる情報はたくさんあります。
とくに、マーケティングや営業に関しては、勤務している会社がどのような手法で取り組んでいるかしっかり把握しておくことにより、起業後の顧客開拓に役立ちます。
営業については、組織として持っているノウハウだけではなく、結果を出している営業マンからも、技を盗んでおくことをお勧めします。
起業して経営者となっても、自ら営業しなければならないからです。
ただし、マーケティングや営業は、会社の規模やブランド力によって有効な手法が異なるので、起業後に同じやり方で実行しても期待どおりの効果が出ないかもしれません。
大切なことは、会社のノウハウを吸収しながら、小さな規模で起業した後にも使えると思える手法を自分なりに積み上げていくことです。
私のクライアントに、広告制作業を起業した人がいますが、同業種の会社に10年以上勤めていました。
彼は、起業を決意した後に、「この会社のノウハウをすべて盗んでやろう」と考えて、退職までの1年間は熱心に仕事をしながら、所属していない総務や人事といった部署の仕事も観察していました。
起業後は、吸収したノウハウを生かしたことが功を奏して事業を軌道に乗せることに成功しています。
あなたも、起業を決意したなら、ぜひ勤めている会社のノウハウを吸収できるように取り組んでみてください。