起業を志して準備をするようになると、自分が考えているビジネスプランを人に話す機会が出てきます。
すると、「それはいいビジネスだ」といい評価をされることがあれば、逆に「そんなビジネスではやっていけない」とダメ出しを浴びることもあります。
肯定されると自信につながって嬉しいのですが、反対に否定的なことを言われると「やっぱり自分は起業しないほうがいいかもしれない」と落ち込んでしまいがちです。
私は、起業家として成功する要素の一つは、人の意見に耳を傾けられることだと思っていますが、言われたことで右往左往し過ぎると、自信をもって起業することはできません。
他人から意見を聞いたときに重要なことは、一喜一憂するのではなく、相手がどんなバックグラウンドをもっている人で、どのような根拠で評価しているのか理解したうえで受け止めることです。
たとえば、相手がビジネスの経験がないような人であれば、一消費者としての目線や興味本位で評価することがあるので、注意が必要です。
日本では「サラリーマンとしてコツコツ仕事をして給料をもらって生活するのが当然」と思っている人がいるので、「起業なんてしたら大変だよ」、「とても食っていけないからやめたほうがいい」といった否定的な意見を言う人も少なくありません。
このような声を聞くと、起業しようというモチベーションが下がってしまいます。
しかし、彼らの意見はビジネスプランの中身をみているというよりも、起業に対する偏見から出ている場合もあるので、気にし過ぎないことが大切です。
一方、起業に関してノウハウをもっている人に評価してもらうと、ビジネスプランをブラッシュアップするためのいいヒントをつかめる可能性があります。
最近は、起業支援をしている公的または民間の機関が充実しています(公的な機関では「創業支援センター」や「商工会議所」など、民間では「起ちあがれニッポンDREAM GATE」などがあります)。
このような機関に所属している専門家に、あなたのビジネスプランについて相談すれば、自分では気付かなかったような観点からアドバイスをしてくれるでしょう。
ときには厳しい評価をされる場合もありますが、どんな根拠で言っているのかをよく確認して、ビジネスプランの改善に取り組めばいいのです。
また、起業支援機関などでは、ビジネスプランを評価する「ビジネスコンテスト」が開催されることがあるので、積極的に参加することをお勧めします。
これは、審査員の前でプレゼンテーションを行い、優秀者が表彰されるというものです。
ときには、審査員から辛辣なダメ出しを浴びることがありますが、それによって改善のヒントを得られることが少なくありません。
一方、コンサルタント的な立場の人ではなく、長年事業を続けている経営者に評価してもらうことも有効です。
経営者として経験したことに基づいて、あなたのビジネスプランをシビアに評価してくれるからです。
ただし、人にビジネスプランを話すときには、注意しなければならないことが2点あります。
一つは、技術やノウハウを話し過ぎると、真似される懸念があるということです。
もしあなたのビジネスが、他人に先行されたら困るという内容であれば、根幹となるノウハウは軽々しく話すべきではありません。
もう一つは、誰にも評価されないようなビジネスこそが、大ヒットして世の中を変える可能性があるということです。
もし、あなたの考えるビジネスが、これまでにない斬新なものであるとすれば、ほとんどの人から否定的意見をもらうかもしれません。
でも、「必ず多くのお客様を見つけることができる」という強い信念があるならば、否定的な意見に屈せず、実現のためにまい進していただきたいと思います。