「いつかは起業したい」と考えている人が、なかなか実行に移せないのは、起業することに関してさまざまな不安を抱えているからです。
起業を実現するためには、その不安を払拭しなければなりません。
そのためには、具体的な不安の理由を「起業ノート」に書き出すことが有効です。
頭の中だけでなんとなく思いを巡らすだけでは、否定的な気持ちが先に立つだけで、不安を解消する方法が出てこないものです。
具体的な不安材料をすべて文字にすることによって、一つひとつをつぶしていくためのアイデアが浮かぶようになるのです。
起業を考えている人が抱く不安の代表的なものをあげると、次のような内容があります。
(1)お金の不安
・採算がとれずにお金がなくなってしまうのではないか
・借金にまみれて破綻してしまうのではないか
・路頭に迷うのではないか
(2)自分の能力に関するもの
・自分は起業家に向いていないのではないか
・何もかも自分独りでこなす自信がない
・お客さんを集める方法が分からない
(3)体力・健康面
・起業家の激務に耐える体力がない
・働き過ぎて健康を害してしまうのではないか
・困難が続いてメンタルヘルスを損なうのではないか
(4)対人関係
・人に騙されてしまいそう
・社交的ではないので人脈をつくる自信がない
・人と交渉するのが苦手
(5)周囲の反対
・家族を説得するのがたいへんそうだ
・人に反対されると勇気がなくなってしまう
・人に「起業する」と言うと笑われそう
このように、起業することを考えるとさまざまな不安がわいてくるものですが、目を背けずにノートに書いてみることが重要です。
その際、できるだけ具体的に記入することによって、不安の所在をより明確に特定することができます。
たとえば、「人に騙されてしまいそう」という不安なら、「儲け話を持ちかけてくる人にお金をだまし取られる」、「経営コンサルタントのアドバイスに乗って失敗する」、「商品を買ってくれたお客さんが代金を払わずに連絡がとれなくなる」というように、いくつかのパターンを想定しておけば、騙されないような心構えをもつことができるので、不安を減らすことが可能なのです。
あなたは、「不安を細かく書けばかえって押しつぶされそうになるのではないか」と思うかもしれません。
でも実際には、不安を特定する作業を行うことによって、徐々に「感じている不安は乗り越えられるかもしれない」と思えるようになるはずです。
もちろん、お金のことなど、書き出すだけではとうてい乗り越えられない厄介な不安もあります。
そうした不安は、たとえば売上を上げるためのマーケティングを学ぶなど、解消するための対策をとっていく必要があります。
こうした不安を解消する対策を考えていくことが、起業を実現して成功に導くために重要な準備なのです。