起業してあまりにも大きな不安が続くと、心が折れてしまう可能性があります。
起業家がサラリーマンと大きく異なるのは、何をするにしてもすべて「自己責任」であるということです。
赤字が続いても失敗をしても、基本的には誰も助けてくれないのです。
もちろん家族や親友などから、ある程度の支援は受けられると思いますが、最終的には「自分が何とかする」という気概がなければ、起業家として生き残ることはできないのです。
そういう意味では、起業するということは、究極の成果主義・実力主義の世界に飛び込むことにほかなりません。
事業経営は、「山あり谷あり」でいいときがあれば、「どん底」といえるような窮地に陥ることもあるのが現実です。
「どん底」に陥ったときには、とてつもない不安に襲われることがあります。
そんなときに、不安に押しつぶされて心が折れてしまうようでは、事業を継続することはできません。
そこで、窮地に陥っても折れない心をつくるために、メンタルタフネスを鍛えることをお勧めします。
実は、メンタルの強さがあるかどうかで、起業家としての成否が左右されるといっても過言ではないのです。
それでは、事業を継続するために必要なメンタルタフネスは、どのようにすれば鍛えられるのでしょうか?
私は、精神科の医者でも心理学者でもないので、学術的に裏付けがあることを論じることはできませんが、窮地からV字回復した多くの経営者と接した経験から、次の三つの方法が有効だと考えています。
1.自分を客観視する
人は苦しい状況に陥ると、視野が狭くなることが原因で、前向きな気持ちが失われるものです。
そんなときは、自分を客観視するように努めることが有効です。
具体的なやり方としては、たとえば失敗して落ち込んだら、自分を見つめるもう一人の自分が横に立っているイメージをもつようにするのです。
もう一人の自分は、「この失敗はたいしたことではない。今日は他にもいいことがあったじゃないか」と、自分を励ましてくれます。
2.厳しい場面でも「いい経験だ」と気楽に考える
メンタルタフネスは、厳しい場面を乗り越えていくことで鍛えられていきます。
辛く厳しい場面に直面したら、「これはメンタルを強くするためにいい経験になる」と言い聞かせて、ある意味、気楽に考えるようにします。
そのためには、前1で説明したように、自分を客観視する方法がとても有効です。
3.腰を据えて打開策を考え抜く
成功している起業家ほど、厳しい場面でも右往左往せず、打開策をじっくり考え抜く習慣があります。
ある起業家は、赤字が続いて資金が底をついてきたとき、独りでリゾートホテルに1週間泊まって事業計画を考え抜き、ピンチを脱することができました。
このように、厳しいときこそ打開策を考えることによって、いいアイデアが浮かぶとともに気持ちを整理することができて、V字回復する原動力になります。
起業前のサラリーマンの間でも、厳しい場面に直面することはありますね。
そんなときこそ、上記のような方法によって、メンタルを強化する訓練をすれば、ピンチを乗り越えられる起業家になれるのです。