起業のアイデアだけでは意味がない
アイデアを捻り出す作業を行って、多くの起業のアイデアが出てきたら、実際に起業するためのビジネスモデルを構築していきましょう。
そのためには、次のようなステップを踏んでいくといいでしょう。
【ステップ1】「CAN・MUST・WANT」で分類する
ビジネスのアイデアが「CAN」、「MUST」、「WANT」のいずれであるかを判断することです。
「CAN」とは、自分が培った経験や身につけているスキルで「自分だからこそできること」という自信をもてることです。
「CAN」を考えるときには、まず「自分の棚卸」を徹底的に行う必要があります。
これまでの仕事の経験や仕事以外で身につけているスキル、人脈などを洗い出して、自分ならではの強み(USP:Unique Selling Proposition)を探ることで「CAN」の内容が明確になります。
なお、「自分の棚卸」は、自分だけで考えるよりも他の人に経歴などを話してみるほうが、USPを発見できる確率が高くなります。
自分の強みは自分で分からないことが多いからです。
「MUST」とは、自分を取り巻く環境などから、好むと好まざるにかかわらず「やらなければならない」と考えていることです。
身内の事情や地域のしがらみなどから、「やらざるを得ない」という背景があって出てきたものなどが該当します。
「WANT」は、自分の経験やスキルとは関係なく「やってみたい」と思っていることです。
ビジネスのアイデアを、この三つに分けることで、客観的な分析ができます。
最終的に分類されたアイデアの中で、「CAN」、「MUST」、「WANT」のいずれにも該当するものがあれば、それが理想的なビジネスといえます。
しかし、諸事情から「MUST」のビジネスをせざるを得ないことがあります。
また、経験やスキルがなくても、「WANT」のビジネスにチャレンジするという考えもアリだと思います。
【ステップ2】実現・継続可能性を分析する
ビジネスのアイデアを、冷静に「実現できるのか」、「事業として継続できるのか」という観点で分析することです。
①「必要な経営資源が調達できるか」、②「乗り越えるべき制約条件」、③「市場規模・競合状況・収益性・成長性」の三つのポイントからチェックしてください。
とくに、③「市場規模・競合状況・収益性・成長性」は、軌道に乗せられるかどうかを判断するために重要なポイントですが、斬新なアイデアであればあるほど判断が難しいものです。
できるだけ客観的に正しい判断をするためには、情報収集をしっかり行うことが重要です。
なお、市場規模に関しては、大きければいいというわけではありません。
小資本で起業する場合に軌道に乗る確率が高いのは、競合が少ないニッチ(隙間)な市場で高い占有率を確保できるビジネスだと認識しておいてください。
【ステップ3】ターゲットを絞り込み「誰に何をどうやって売るのか」を明確に
「ステップ1」と「ステップ2」の作業を行えば、しだいに自分が取り組むべきビジネスが絞られてきます。
ここからは、一つのアイデアをより深く掘り下げたり、複数のアイデアをパズルのように組み合わせたりして起業するためのビジネスモデルを構築していきます。
ビジネスモデルを検討するときに陥りやすい誤りは、複雑な内容にしようと考え過ぎることです。
むしろ、できるだけ分かりやすいシンプルな内容にすることが重要です。
お客様となり得る人からみて、「これは自分のために役立つものだ」と、容易に認識してもらえることが必要だからです。
シンプルなビジネスモデルとは、「誰に何をどうやって売るのか」ということが明確なものです。
「誰」とは、あなたのお客様となる人のことで、「何」とは、あなたがお客様に提供できる商品やサービスで、「どうやって」とは、店舗販売やネット販売など、売る方法を指しています。
この「誰」、「何」、「どうやって」のキーワードをできるだけ明確にしたビジネスモデルを構築することを心がけてください。
ビジネスモデルを構築することは、起業準備においてもっとも重要なことです。
何回でも多面的に検討して、「これならいける!」と確信できるまで、妥協することなく徹底的に追求することが重要です。