起業を志す人の相談を聞いていると、「みんなどのような感じで起業しているのですか?」と、他の多くの起業家のことを気にするような質問を受けることがあります。
つまり、「平均的な起業家のやり方に近い方法をとればうまくいく」という発想をするのです。
とくに、「資金をいくらかけているか」、「どんな準備をしているか」、「売り上げはどれくらいあるのか」などが気になる様子です。
日本人は、「他の多くの人がやっていることに影響されやすい」と言われていますが、起業しようとしている人でもそのような傾向があるようです。
政府系金融機関である「日本政策金融公庫」の総合研究所が毎年発表している「新規開業実態調査」(日本政策金融公庫の創業融資を利用した起業家へのアンケート調査)という資料をみると、「開業にかけた費用の金額」や「開業前の予想との相違」など、ある程度平均的な起業家の姿が見えてきます。
起業家の平均値が気になるなら、参考にするといいでしょう。
しかし、起業家は千差万別であり、起業家の平均的な姿を知ることができたとしても、あなた自身の起業準備の参考にはならないと思います。
起業してうまくいくためには、平均的な起業家を目指すのではなく、むしろ他の起業家との違いを追求することが重要です。
ある程度、起業家の平均的な姿を把握しつつも、「人は人、自分は自分」と考えて独自の起業スタイルをみつけることが肝心です。
他の起業家の平均値を気にし過ぎるのではなく、自分が目指す夢や目標を、自分のスタイルで追い求める強い姿勢が大切です。
また、起業するに際しては、必ずといっていいほど競合する同業他社がいるので、ターゲットとする顧客に対して自社の強みをアピールしなければ、競争に負けてしまい十分な収益を上げることはできません。
たとえば、イタリアンレストランを開業すると思えば、店を出す予定地の周辺の飲食店を調査して、それらとは違うアピールポイントをもつ店をつくる必要があります。
つまり、平均的な起業家の真似をするのではなく、自社が顧客から認識してもらうために独自のブランディングが欠かせないということです。
事業をするのに、人と同じようなことをしようとしていては競争力が乏しく、競合他社との差別化が図れないことになってしまいます。
会社に勤めている間は、あまりにも人と違う発想や行動をすると、注意されることがあるかもしれません。
しかし、起業を志すなら、いかに「人とは違うこと」、「人がやっていないこと」を見つけて実行していくかが、成否を分けるカギだといえます。
あなたもぜひ、起業の準備の段階で、一般的な人とは違う考え方や行動をする練習をしておいてください。