「起業ノート」は、起業の準備段階で活用するものですが、実は起業した後でも事業を継続するためにとても役に立つツールとなります。
起業して、事業が継続できなくなる主な原因は、直接的には「資金が底をついてしまった」というものですが、その根底には「起業家が直面する三つの壁」というものがあります。
それは、「アイデアの壁」、「行動力の壁」、「マインドの壁」です。
「アイデアの壁」とは、実際に起業してうまくいかない日々が続くと、いつの間にか目先のことに一喜一憂して、新たなビジネスの発想を生み出そうとしなくなってしまった状態のことです。
ビジネスを軌道に乗せるには、常に売り上げを伸ばしたりコストを削減したりするための方法を見つけ出す必要があります。
起業の準備段階では、考えるだけで楽しいので、頭をフル回転させてアイデアを捻り出すものです。
起業後にノートを見返すことによって、創造力を働かせる姿勢の重要性を再認識することができます。
また、「そういえばこんなアイデアを考えていたんだ!」と、忘れていたアイデアを思い出して、事業を拡大させるきっかけになることもあるのです。
「行動力の壁」とは、とくに事業がある程度軌道に乗った段階で直面する壁で、ビジネスを加速するために必要な行動力が鈍ってしまった状態です。
そうなる要因は、大きく分けて二つあります。
一つは、やるべきことは分かっていても、つい気が抜けて怠けてしまい行動に移そうとしないことです。
「ある程度うまくいっているから、そんなに頑張らなくてもいいや」と油断してしまいます。
もう一つの要因は、タイムマネジメントがうまくいかないことです。
時間的に受注した仕事をこなすことで精一杯になり、新たな受注を確保するためのマーケティング活動などに労力をかけていない状態です。
いずれも、売り上げが先細りになり、最悪の場合、事業が続けられなくなってしまう懸念があります。
こうした事態を避けるために、準備段階で、軌道に乗っても気を抜くことなく行動することの大切さを認識しておくことが重要です。
「起業ノート」に各ステージ(スタートアップ期、1年後、2年後など)に行うべきタスクを明記しておき、起業後に、実行できているか確認していくことを繰り返すと、着実に前進することができるのです。
また、タイムマネジメントの面では、タスクの優先順位や緊急度を考慮して、効率的な時間の使い方をするノウハウを「起業ノート」に記録しておくと後で役立ちます。
最後の「マインドの壁」は、マインド、つまり心が折れてしまいそうになる状態です。
起業すると、サラリーマンとは異なる試練が待っています。
たとえば、商品やサービスを売り込んでも断られ続けてしまうとか、従業員をうまく使うことができないことで悩んでしまうなどです。
また、資金繰りのことで頭が一杯になってしまうこともあります。
このように精神的に辛い場面に直面しても、心が折れずに乗り越えられる起業家だけが事業を繁栄させることができます。
起業の準備段階で、企業経営に伴うリスクを想定したりメンタルタフネスを鍛えたりしておくことが重要です。
起業後も「起業ノート」のマインドに関する記事を見直すことで、自分を勇気付けることが可能です。
このように、起業後に、準備段階で書いた「起業ノート」を振り返ることで、立ちはだかる三つの壁を乗り越えて、事業を長く継続する原動力とすることができるのです。